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日本号の槍の運命

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 「日本号」と名づけられている名槍は、いま福岡市美術館で常設展示されている。
 豊臣秀吉が武勲をあげた福島正則に恩賞として授けた由緒ある槍で、作者は不明であるが、美術品としての評価が高く、今なら人間国宝クラスの人の作品といわれている。
 そのあと黒田家の家臣母里太衛が大杯の酒をみごと飲み干して、福島から飲みとったとする「黒田節」で有名になった。
 その後の槍の流れを最近読んだ本で詳細に知った。
 明治維新の混乱時期にこの槍が売りに出され、玄洋社の頭山満が買い取った。博多の侠客大野仁平が頭山との争いのあと、肝胆相照らすなかになり、頭山はこの槍を仁平にゆずった。
 仁平の死後、その息子が槍を売りに出し、炭鉱王の安川敬一郎が買い取った。
 子息の一人安川第五郎は子供の頃、欄干に飾られた槍をみて、怖いと思っていたという。
 しかし彼は晩年に槍を私物化するのは良くないと思い、黒田家に献上した。
 黒田家は代償に狩野派の掛け軸を安川家に授けた。
 戦後になり、槍は福岡市美術館に寄贈され、掛け軸は国立美術館に寄贈され、どちらも公共の施設で鑑賞できるようになった。
by gfujino1 | 2007-07-14 16:32 | 郷土史
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